国内では当たり前に支払っていた「年金」も、海外就職する場合は条件によって加入義務が変わってきます。
海外就職する際に、住民票を移動するか否かで「任意加入」もしくは「加入継続」のどちらかを選びましょう。
目次
海外就職の場合は年金の支払いは基本的に任意になる
今は年金を払っているけれど、海外に就職しても年金を払い続ける必要はあるのでしょうか?
海外就職するときの年金加入義務は、住民票を移動するかどうかで変わってきます。
海外転出届を出して「任意加入」にするか、住民票を移動させずに「継続加入」するかの2つから選択しましょう。
ここでは具体的に、2つの選択肢にどのような違いがあるのかを紹介します。
海外転出届を出した場合は「任意加入」になる
海外就職するにあたり、現地に1年以上渡航する場合は「海外転出届」を役所に提出するのが一般的です。
海外転出届を出すと住民票を移動したとみなされるので、年金加入について自分で選択できます。
or
海外に住んでいる間も国民年金を納付し続ける
あくまでも海外転出届を出した場合は「任意加入」になりますが、海外渡航に際し必ず手続きをしなければいけません。
国民年金の支払いを止める場合と、支払いを継続する場合のどちらの場合も、年金手帳を持参して支払い方法の変更をすることを求められます。
もちろん、日本帰国した際には再度加入手続きが必要だと覚えておきましょう。
住民票を移動しない場合は「加入継続」になる
1年未満の海外就職の場合は、住民票を日本に残したまま渡航できます。
住民票を残しておく場合は、国民年金以外にも住民税や国民健康保険の支払いも続けなければいけません。
国民年金に加入し続ければ将来受け取れる年金額も減ることはありませんし、一時帰国の際にも国民健康保険に加入している形になるので病院も利用できます。
海外就職で「年金加入し続ける」メリット&デメリット
疑問に感じる人もいるでしょう。将来的に受け取れる年金額が不安な人は、海外就職の間も年金加入しておくのがオススメです。
海外で暮らしている間も年金加入し続けることで得られるメリットとデメリットを紹介します。
まずはメリットですが、以下3点です。
老後に受け取れる年金額が減額されない
住民票を移動するか否かに関わらず、年金を払い続けていると老後に受け取れる年金額が減ることはありません。
年金は、20歳〜60歳の間に支払った年金額によって老後に受け取れる額が変動します。
そのため年金を支払っていない期間があると、最終的に受け取れる年金額が減ってしまうのです。
「将来受け取る年金額を可能な限り増やしたい」という人は、海外転出届を出しても年金に加入し続けることをオススメします。
万が一の場合に家族が年金を受け取れる
国民年金の加入者が、万が一死亡した場合は家族が代わりに年金を受け取れます。
加入者が年金受給するために必要な条件(※1)を満たしていると、死亡してしまった場合に「寡婦年金」もしくは「死亡一時金」を受けとれる場合があるのです。
たとえば、あと少しで受給条件である10年を満たせるという場合をイメージしてみてください。
海外就職しても年金を払い続けることで必要条件を満たすと、海外で自分の身に万が一事故が起きても家族が年金を受け取れます。
海外就職にあたり、年金加入するか否かを考えるときは、今まで年金を納めてきた年数なども検討材料にしましょう。
終身年金であり厚生年金からの補填でお得である
国民年金は終身保険でもあるので、被保険者が亡くなるまでの間、一生涯年金を受け取ることができます。
自分自身の寿命はわかりませんが、年々平均寿命が延びていることもあるので、長生きリスクに備えられますよね。
基礎年金は大赤字なので、本来であれば5万5000円ももらえません。それが可能になっているのは、税金が投入されていることと、厚生年金から会社負担分が「流用」されているからです。これによって、国民年金は有利な「投資」になっています。
— 橘 玲 (@ak_tch) June 17, 2019
上記の通り、国民年金はむしろ加入するとお得です。多くの会社員の方に負担してもらってやっと運用されている制度なんですよね。
もともとは節約のつもりで年金を抜いていましたが、これら3つのメリットを知って改めて一時帰国の時に年金加入をしてきました。
なおデメリットについては以下の1点くらいでしょうか。
デメリット:年金の支払い管理
海外就職をしても年金を払い続けるためには、支払い管理を場合によっては家族にお願いしなければいけないというデメリットがあります。
海外に住んでいると、年金を納めるための納付書を利用できないので、納付書で支払う場合は家族に変わりをお願いしなければいけません。
海外に長期で住んでいる人は、日本の銀行口座ではなく現地の銀行口座をメインで使うのが一般的です。
日本の口座残高の確認を忘れてしまう場合もあるので、日本の銀行口座管理も人によっては家族にお願いする必要があります。
口座振替やクレジットカード払いも可能
ただし、国民年金の支払いには、納付書と口座振替、そしてクレジットカード払いが利用できます。
海外就職する際は、国民年金手帳などの基礎年金番号がわかるものを役場に持参して手続きすればOKです。
- 納付書の場合:送付先住所を、代わりに支払ってくれる家族の住所へ変更する
- 口座振替の場合:引き落とす口座を登録する
- クレジットカード払い:支払いに利用するクレジットカード情報の登録
どのような支払い方法を選んだとしても、必ず日本の銀行口座残高を管理しなければいけません。
海外にいる間も年金の納付を続ける予定の人は「適している年金納付方法」についてサポートしてくれる人と相談しておくとさらに安心ですね。
海外就職で「年金加入しない」メリット&デメリット
このように不安に感じてしまう人もいるでしょう。
ここでは、海外就職で年金加入しないことを選んだ際のメリットとデメリットをそれぞれ1つずつ紹介します。
メリット:現地に長期滞在する際のコストを抑えられる
海外就職中に年金の納付を続ける場合は、現地での生活費や保険代金に加えて、日本国内でも年金の支払いを続けなければいけません。
海外現地での気晴らし旅行、日本帰国の際の旅費などで出費がかさむことは避けられません。
毎月の支払いが厳しくなったからといって、海外にいながらすぐに年金の納付免除の手続きができるわけではないですからね。
海外に長期滞在している際の毎月の出費を少しでも減らしたいと考えている人は、日本で納付し続けなければいけない「国民年金」の金額も念頭に入れておいてください。
なお海外転出届を出すと、国民年金だけではなく住民税や国民健康保険の支払いも免除されます。
デメリット:海外転出届を出さなければいけない
年金の支払い免除をするためには、住民票を移動して海外転出届を提出しなければいけません。
国民健康保険が免除されると、出費が少なくなると思われがちです。
しかし、いざという時の負担が大きくなってしまう場合があると覚えておきましょう。
たとえば日本一時帰国のときに、病院や歯科医院などに通院する場合に医療費が全額自己負担になってしまいます。
持病があり病院を利用する予定がある場合などは、海外転出届を出す際に気をつけましょう。
海外転職届を出すことで余計な手続きが増える場合も
一度、海外転出届を出してしまうと海外就職を終えて帰国した際に、さまざまな手続きが必要となります。
たとえば、転入届や国民健康保険加入手続き、そして国民年金加入手続きなどは必ず行わなければいけません。
もちろん海外転出届を出していなければ、このような変更の手続きは必要ありません。
海外転出届を出した場合は、帰国後の手続きに時間を割かなければいけないと覚えておきましょう。
海外就職の年金の任意加入するかどうかはしっかりと考えて決めよう
今回の記事で紹介したポイントはこちらです。
- 海外転出届を出すと「任意加入」か「加入継続」が選べる
- 年金を払い続けると、年金受給額も減額されない
- 国民年金は厚生年金に比べお得な制度である
海外就職する際は、滞在期間に合わせて海外転出届を出すかどうかで年金の加入義務が変わってきます。
老後に受け取る年金額や海外滞在中の年金納付方法などを考えて、加入するか否かを考えてみましょう。
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タイ中心に部屋で働くのが好きな人です。
【経歴】新卒ブラック社畜→ニート→海外就職+副業→週3リモートワーク→デュアルライフ(日本↔タイ)
人材業界のRACAとして計7年以上活動し、現在は事業会社のRPO(採用代行)や複業キャリア講師としてフリーランスで活動中。
35歳から副業で複数サイト運営しながら、2021年からタイで金融投資(米&全世界)を開始。
2031年からサイドFIRE予定です。
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